2.国家検定の内容

平成12年9月11日付けで、防じんマスクの国家検定規格(昭和63年労働省告示第19号)の一部が改正されました。多くの変更点がありますが、主なものに次の3点があります。
  1. 試験条件
  2. 粒子捕集効率によるマスクの分類
  3. 作業内容や粉じんの種類による防じんマスクの区分
1.試験条件

旧国家検定に比べ、試験粒子の粒径がより小さくなるとともに、種類も石英粒子から塩化ナトリウム(固体粒子)、フタル酸ジオクチル(液体粒子)に変更になりました。

試験流量は従来の3倍近い85リットル/分という大流量の試験となり、さらに捕集効率の測定は初期値のみではなく、一定の粉じん量が堆積するまで行われます。

●試験条件

  改正後 改正前
試験粒子 塩化ナトリウム(NaCl)
フタル酸ジオクチル(DOP)
石英粒子
濃  度 50mg/m3以下(NaCl)
100mg/m3以下(DOP)
30±5mg/m3
粒  径 0.06~0.10マイクロメートル(NaCl)
0.15~0.25マイクロメートル(DOP)
2マイクロメートル以下
流  量 毎分85リットル 毎分30リットル
試験時間 100mg供給するまで(NaCl)
200mg供給するまで(DOP)
初期
2.粒子捕集効率によるマスクの分類

防じんマスクは、形状で「使い捨て式(D)」と「取り替え式(R)」に分類されるほか、対象となる粒子状物質の性状により「固体粒子専用(S)」と「固体・液体粒子兼用(L)」とに分かれ、さらに粒子捕集効率や吸気抵抗値により3ランクに区分。計12区分に分類されます。

●粒子補集効率による12の分類

  S
試験粒子に固体の塩化
ナトリウムを用い測定
L
試験粒子に固体のフタル酸
ジオクチルを用い測定
粒子捕集効率
D
使い捨て式
防じんマスク
DS1 DL1 区分1 80%以上
DS2 DL2 区分2 95%以上
DS3 DL3 区分3 99.9%以上
R
取り替え式
防じんマスク
RS1 RL1 区分1 80%以上
RS2 RL2 区分2 95%以上
RS3 RL3 区分3 99.9%以上
3.作業内容や粉じんの種類による防じんマスクの区分

作業内容や取り扱う粉じんの種類によって、防じんマスクの使用区分が定められています。

●作業内容による使用区分

作業内容 粉じんの種類
オイルミストが
存在する
オイルミストが
存在しない
  • 放射能性物質がこぼれたときなどによる汚染のおそれがある区域内の作業、または緊急作業
  • ダイオキシン類のばく露の恐れのある作業
  • その他上記作業に準ずる作業
RL3 RS3、RL3
  • 金属ヒュームを発散する場所における作業(溶接ヒュームを含む)
  • 管理濃度が0.1mg/m3以下の物質の粉じんなどを発散する場所における作業
  • その他上記作業に準ずる作業
DL2
DL3
RL2
RL3
DS2、DL2
DS3、DL3
RS2、RL2
RS3、RL3
  • 上記以外の一般粉じん作業
DL1
DL2
DL3
RL1
RL2
RL3
DS1、DL1
DS2、DL2
DS3、DL3
RS1、RL1
RS2、RL2
RS3、RL3

日本バイリーンの国家検定合格防じんマスクでは9品番がこの検定に合格しています。
DS2適合品:X-3502、X-3562、X-1702、X-1702H、X-1762、X-1302、X-1302H
DS1適合品:X-3501、X-3561